シガレットケース#⑴
コルドバとは年齢が近い。海外にいた年数も似ている。
この間の結婚式のあと、ふたりでタバコを吸いながら、サンフランシスコとコルドバは都市名としてどっちがモテるのかって話を延々と朝までした。まあ、結婚式の後でかなり酔っ払ってたから悪ノリだったんだけどね。
近くにナンパも名所があって一時間でどれくらい釣れるか試してみた。
そしたら、サンフランシスコが勝率9割。
「コルドバって言ったらさ、それどこ?ホストクラブ?とか言われて。もういいやって。ごめん、ゲームなのはわかってるんだけどさすがにしんどかったわ。そっちは?サンフランシスコって言ったらどんな反応だった?」
サンフランシスコっていうとなんかかっこいいねって言われる。サーファー?とか、知ってる、よくテレビで見るとか、それこそなんていうかよくわかんない褒められ方をする。ナンパの威力としては最大限活かせるね。これ読んでくれてる男性がいたら使うといいよ、あとだいだいの女はサンフランシスコがなんだかわからないけれど、なんだかかっこいいと思ってるくらいだから嘘もバレないw
俺たちが考えすぎなのかもしれない。海外と日本のギャップに戸惑うのももちろん十人十色だとは思うけれど。
俺たちが問題にしているのは、やっぱり看板の問題。日本人の看板意識の強さと自分たちの正義の無さ、そこから派生するような日和見主義。昨日の正義が今日には悪になっている。そして、みんなと同じじゃないと異質なものとしてまともに人間として扱ってもらえないこと。日本に来てから俺を知りたいという人に出会ったことがない。会話ができない、コミュニケーションができない。
俺は自分のアイデンティティと相手のアイデンティティをぶつけて刺激が欲しいと思っている。DEAD SCREENのメンバーみんなもそう思っている。ぶつかるんじゃなくて、ぶつけて刺激が欲しい。化学変化っていうか、ビックバンっていうか、そういうコミュニケーションができる人がこの国には少なすぎる。それが俺たちの暮らしにくさや寂しさの根源なんだ。
もともと7人だったけれど、ひとりが日本人の女の子と結婚した。式中も思ったけれど、すごく会話ができる子だった。それが俺たちの劣等感にもなった。
難しい問題だよね。
結婚したあいつに対しては羨ましくてしょぐあない。他の奴らは知らないけれど、俺は日本人と結婚したいから。会話のできる日本人と。
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