グラジュエーション#(2)

ヴィエンチャンに行った仲間の同窓会がある。同期生だけの小さな集まりだ。昨年はコロナがあったから、2年ぶりの再会になる。

同じチームに一際小柄な子がいた。小さい体と細い腕で何ができるんだよって半ばバカにしていたんだけど、ものすごく技術屋で、でかい重機をかなり繊細に動かしちゃう。ロボット戦隊モノに憧れ続けたガキだったからその人がアニメのヒロインに見えて一瞬で恋をした。可愛い人だったけれど、すでに結婚をしていた。それなのになんで海外ボランティアに来たの?って聞いたらうまくいってないのよって悲しそうに笑った。それが2年前。

そろそろ離婚しているかなって思って、今年の同窓会を楽しみにしている。

打ちひしがれて帰ってきた時、誰よりも寄り添ってくれた人だ。

その人は打ちひしがれて帰ってきてなどいない。きちんと現実を知って現地に行ったから多くのことを学んで、日本に足りないことや日本がすべきこと、経済の面でも援助の面でも事業展開をしたり、もっとやりたいから資格が欲しいと大学に行ったりしているらしい。

行動力が俺の何倍もある、あんな小さい体なのに。どこにパワーがあるんだろう。

俺は帰国後こうして2年も腐っているのに、あの人はぐんぐん前に進んでいく。愚痴も言わなければ、人と比べることもしない。笑われることも厭わないような強い人だった。プライベートでは多くの問題を抱えているのに、そんなことを話すこともない人だった。

どうして?って聞いたら、

「家庭の問題はここで何か関係ある?ここに家庭の問題が入り込まないからきたんだけれど」と言われてしまった。

何事もいい加減にしない人だ。

同じような人を俺は日本でもとめて2年も彷徨ってしたらしい。

バカな話だ。

同窓会はクリスマスイブ。

俺は素直に好きだと言えるだろうか。

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