セレブレーション#⑴
セレブレーションっていうと、大体の女はディズニーとか結婚式とかって方向に考え持っていく。俺がセレブレーションっていうと思い出すのは祝賀会。お疲れ!!って友達と乾杯する感じ。ねっとりしたロマンチックな感じじゃなくて、水しぶきが弾けるようなそんなカラッとした感じ。俺がどんな女を好きなのか女性たちは興味がないのか、そのくせ自分たちのきれいだとか可愛いってことは平気で押し付けてくる。俺はそれが嫌だった。俺はカラッとした女性が好きだった。髪の長い女は特に嫌い。夏とか暑苦しくてしょうがない。元カノにはっきりそう伝えたら、秒で彼女たちのコミュニティに広まって「あの男はひどい」っていう共通認識のもと俺は加害者に仕立てられた。たまったもんじゃない。それ以来面倒くせえ時は「俺はゲイだから」って言うようにしてる。
俺は申し訳ないけど、ふつうにモテる。特別なことは何もしてないし、特別顔も俳優みたいに整っているわけじゃない。でもいいよってくる女は普通にいて、その誰もかれもがなぜか変な勘違いと愛の押し付けをしてくる。ってことは実質モテないってことなのかもしれないけれど。
セレブレーションって言葉をある種、踏み絵にしている。それを言ってディズニーだとか結婚式って発想になる女がいたらそいつはアウト。二度と関わっちゃいけないカテゴリーにはいるからまず連絡先を聞かれても断るようにしている。
女が嫌いって言っても俺の友達は「まあそうだよね」って言ってくれる。だから友達といるほうが楽しかった。親よりも遠いその距離感が俺には合っていた。
この間、友達のひとりが結婚した。若いのに早いよって祝賀会をしてやったら、照れながら「捕まえておけって神様が言うんだもん」と惚気やがってそれが妙に俺の心臓を突き刺した。なんていうか、俺はそんな存在に出会ったことがなかったし、ましてやそういう存在がいるなんて都市伝説以下、神話レベルだと信じ切っているところがあるから、俺だけが貧乏に感じられたからだッたのかもしれない。
俺にとってセレブレーションは死ぬまで祝賀会であって結婚式じゃないのかと寂しくもなった。友達と雑魚寝して、結婚式と二次会を存分に楽しんだ後、式場の近くの友達の家で6人で雑魚寝しながらできたのがこのDEAD SCREENだった。もともとは、結婚したやつと7人で仲が良かったんだ。それが一抜けやがって。
俺たちはみんな留学経験がある。日本では肩身の狭い思いをしている。それが強い絆となっていたから、あいつが結婚したことはなんていうか、家族をひとり失ったような気分だった。
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